思い出の漫画「人魚の真知子」(10/9/9)
★今回は、中学生の頃ノートに描いていた漫画についてです。
小学生の頃から漫画らしきものは描いていましたが、その時は友達とのリレー漫画や、版権ものや、プロの漫画家の丸写しなどでした。
ちゃんとした意味で漫画を描いたなあと思えるのは中学生になってからで、きっかけは楳図かずおの漫画を読んだことからです。最初に読んだ作品は「漂流教室」でした。
当時「漂流教室」は「ロングラブレター」と副題をつけられてドラマ化されており、そのためコンビニで簡単な装丁のものが(所謂コンビニコミック版)気軽に入手できたのです。
それまではホラー物が駄目だった自分なのですが、話の面白さに引き込まれいつしかホラー漫画にどっぷりはまるようになり…
おそらくそれまで読んでいたジャンルの漫画と比べ、ホラー物はその性質から物事の負の面の掘り下げ方が執拗で、そこが新鮮だったのでしょう。
ただホラー漫画にはまったといっても、有名作家の作品を読むに留まっていましたが(他に読んだ漫画家は 伊藤潤ニ 犬木加奈子 御茶漬海苔 など)。
最近はただ怖い、グロい!というのはあまり読まなくなってしまいました。最初の頃は驚きでしたが…
ともあれ、私はホラー漫画を発端にしてストーリーをつけた漫画を描こうと思い始めたのです。中学2年生のときだったか。
★そう考えて最初にストーリーを思いつき、描き始めたのが「人魚の真知子」でした。ただこれは考えた内容が長くなり、結局未完成のまま終わってしまいます。
ストーリー:
ヒロインの真知子(15)は美少女だが性格は非社交的で、友人はいない。彼女が愛しているのは科学者である父親だけである。(母はいない)
父親は娘と似つかぬ醜い顔をしているが、科学者としての技術力・独創性は天才的であり、外部との交流を断ち切り、彼もまた娘だけを愛している。
ある日真知子は交通事故で死亡してしまう。父親は娘の遺体を引き取り、嘆き悲しんだ末彼女の蘇生を試みる。
損傷の激しい下半身の代わりに、巨大な魚の尾を付け替えた。魚の尾の中身はくりぬかれ、彼女を生き返らせるための人工臓器などが入っている。
父親の執念か、奇跡が起きたためか、真知子は生き返る。ただ下半身が魚の、人魚の姿のため、常に水槽(プール)に入っていなくてはならない。
娘の蘇りを父は喜び、嬉々として父は世間には秘密で、研究所に隠した娘の日々の世話をする。真知子もまたこれを喜ぶ。
だがひょんなことから真知子の存在が世間に知られてしまう。父親は罪を問われ投獄されたばかりか、真知子を研究対象として国の科学研究所に奪われてしまう。
脱獄した父親は世間に復讐を誓う。再び彼は科学者としての技術を駆使して、生命を持った怪物を作り出す。首が魚で体が鱗を持った人間の半魚人だ。
半魚人を外に連れ出した父親は手当たり次第に人々を襲わせる。半魚人には鋭い牙が生えており、噛み付かれれば致命傷である。
人々を襲いながら、父親は科学研究所へ向かってゆく。
そのとき、科学研究所にいた真知子はそのことに気付いたかのように目を覚ました。彼女は海水で満たされたカプセルの中に閉じ込められていたが
目を覚ました彼女は不思議な妖気で包まれていて、彼女が触れたカプセルのガラスは水のように溶けて崩れてしまう。
カプセルから出た彼女は空中を泳ぐように浮遊して研究所を抜け出す。そして父の元へ。
父親は狂気にとりつかれたかのように、人々を襲い続けていた。父親は真知子が現われたことに気付く。
父親は喜びから泣いていたが、真知子の顔は無表情で、吸い込まれそうな目で父親を見つめている。
その表情に父親の顔は怯えたように変わる。真知子の目は哀れみのものに変化する。大惨事の騒ぎの中でたった一瞬の静けさがあり
二人の視線は深く交わった。
真知子が触れた父親の体は水になって地面に崩れ落ちる。
半魚人もまた真知子が触れると水になって崩れ落ちる。
真知子の目から涙のようなものが流れたがすぐに体中が水になり、溶けて地面に落ちた。
…というものです。ノートに描かれた途中までのものを読むと、伊藤潤二の「富江」や楳図かずおの作品複数を意識しながら描いている事が分かります。
この頃はまだ絵が下手で(今もですが)体の関節の曲げ方だとか、背景の描きかたなどてんで分からなかったので、上に挙げた漫画家の絵を参考にしながら描いていました。
「人魚の真知子」。こんな感じの美少女がヒロインのお話にする予定でした。
★長いお話を描く気力がなく、そのあとは10〜20Pで描けそうな短いお話ばかり考えてました。最初に完成した私の漫画のタイトルは「屋上の人」で、
学校の怪談をモチーフにした作品で、屋上で見下ろして立っている美少女に興味を持った男の子が彼女に近付くと、実は彼女は妖怪で食われてしまうというお話でした。
「屋上の人」。彼女のスカートの中が牙のついた口になっています。これを家庭教師だったアルバイトの大学生の人に読んでもらったことがあるのですが、
「このネタ(スカートの中に口)は見たことがある」と言われました。